埼玉県加須市騎西高校(双葉町からの避難者が3年間生活した場所)での「5年目の3.11」イベントに、快医学ネットワーク・アイロン手当て隊として参加した帰りの車中で、「できたら肥田先生の講演会をやりたいね!」と盛り上がって始まったこの企画。肥田先生は体調がよくないらしいという情報がある中心配しましたが、ぶんぶんフィルムの鎌仲ひとみさんが仲介してくださり、秘書の看護士さん、肥田先生が関わっておられる老健施設のご協力など、たくさんの方のご協力により、奇跡のように実現することができました。ご協力くださったみなさまに、心より感謝を申し上げます。

当日は梅雨の晴れ間で、会場をお借りした施設の周りは、あじさいが色とりどりに輝いていました。

参加者は、記録撮影のぶんぶんフィルムのカメラマンの方と録音の方を含めて21名。99歳の肥田先生の横には長年先生と活動を共にしてきた看護士さんと、現在秘書をなさっている看護士さんお二人が付き添って座り、小さな集会室は満杯でした。

原爆の急性症状で苦しみながら亡くなっていった人々や、晩発性障害で周囲に理解されない苦しみを抱えながら生活する人々、たくさんのいのちと常に誠実に向き合って悩みながらも、被ばく医療を切り開いて生きてこられた先生。そしていのちをないがしろにする圧力とずっと闘い続けてこられ、今も戦う姿勢を崩しておられない先生。その生き方には本当に頭が下がりました。

肥田先生が今回中心に話されたのは、「自分のいのちに責任を持つこと」でした。「自分のからだを理解して、自分のいのちの主人公は自分なのだという目で自分を見ること、そうすると人権というものがきちんと腹に座るんだ」という、力強い言葉が深く心に残っています。

参加者それぞれ、肥田先生のパワーを間近で感じて、心に染みるたくさんの気づきをもらったようでした。(終了後の参加者のみの懇親会では、ひとりひとりから熱い感想を聞くことができました)

*快医学ネットワークでは、今回のお話会のブックレットの作成を計画中です。

報告 野本美保