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夏の薬草

 ☆梅の実   バラ科

青うめを打てばかつ散る青葉かな (蕪村)

青うめを打てばかつ散る青葉かな(蕪村)
みずみずしい初夏の光景が浮かんでくるようだ。早朝、梅打ち棒を振るっているのは大抵お父さん。枝を打つと青い実と一緒に葉の破片が空間に飛び散り舞い落ちる。笊に拾い集めて眺めては満足げ。現代でもちょつとした風物詩だ。家庭用の梅干の材料となる青梅は鑑賞用も兼ねて、地方では今でも結構庭の中に植えられている。

 中国原産の落葉樹。奈良時代に薬用・烏梅(うばい)として入って来たようだ。これは梅の実を燻製にして黒くなったもの。食中りや風邪等に使われたもののようだ。梅干は昔からの完全な国民食にもなっている。
 ここでは、ピロリ菌対策として梅肉エキスを取り上げてみる。1回に小匙四分の一位、これを1日2回、約3日間で除菌出来る。

 ☆山椒(はじかみ)   生薬名・山椒  ミカン科

はじかみの花や下枝の摘みあらし (圭岳)

 風の吹いた朝に、畑に出て見ると余計な花と思える茄子の落花が目に付く。何気ないこんな情景はままある。それをそのまま詠んだ。別に深い意味は無いのだろう。採れすぎて困るのが茄子。少しでも実が付かないのは良しとしよう。
 インド原産の多年草。茄子のへたを煎じてはれものやあかぎれ・しもやけに使われた。茄子の黒焼きというものもある。歯肉炎に、黒く焼いた茄子のへたを使ってマッサージすると良いという。

快医学ではなんといってもIGa腎炎の特効薬で、約10日間で治まってしまう。

☆なす   ナス科

朝風に茄子の無駄花落るなり (雨亭)

 小さな粒のような山椒の花(初夏の頃)が咲いている。日頃、気にも留めなかったが、一様に、下枝の部分が摘み取られでもしたのか、葉がまばらになっている。誰か、昨年に摘んでしまった部分なのだろうか。毎年、新しい葉を付ける山椒の木が健気に思えて来る。

 日本の伝統的な香辛料として夙にお馴染みのもの。何故か、日本料理に合う。新芽の佃煮もご飯にぴったり。
薬用には、実を包む殻の部分を使用する。寄生虫(真菌類・原虫類・ぜん虫類・ダニ類)に抜群の効果がある。1グラムを500ccの水で約10日間服用すると良い。

へび苺  生薬名・蛇苺(じゃも)  バラ科

石けりの石の失せどの蛇いちご (俊夫)

石けり遊びの子供が蹴った石が目標を逸れ、叢の中に、それも蛇苺が這えている中へ。付いている名前がオドロしい。しばし怯む。それも、びっしりと地に這っていて探すのには意外と手を焼く。それならば替りの石を探せば良いと思っている。そんな情景を切り取っている。

日本中、野原や路傍などで各地に見られる。花は4月~6月、初夏に赤い実を付ける。名前から受ける印象とは違って毒は無い。赤い実をエタノールやホワイトリカーに漬けて作る。虫さされに良い。このような、日頃は何でもないようなものを常備して置くと、意外と重宝する。

柿の葉    カキノキ科

渋柿の花散る里となりにけり (蕪村)

 又、今年も、この里に柿の花が散る頃(梅雨の頃)になったなあという感慨が何気ない言葉の中に込められている。淡黄色の余り目立たない花だが、柿の実は、この頃(江戸時代)の人達にとっては貴重な甘味食物だったろう。それだけに、現代とは思い入れの視線が違っていたのではないだろうか。それにしても、日本の秋の里山の風景には、柿ほどぴったりと収まる木はない。

柿はわが国独自のもののようで、昔は、殆どが渋柿だったと言われている。主な効能は、血圧降下に良いと言われているが、よもぎ、スギナ、ドクダミ、桑の葉等とブレンドしてお茶替りに使われている例が多いのではと思う。

 <くわ>  漢名 桑白皮(根)

桑の実の落ちてにじみぬ石の上 (様人)

初夏の日差しが強くなってくる頃、山間の道沿いに桑の木が目立つようになり、その実の色は緑色から茶色に、そして6月~7月頃には黒紫色へと変化して、その落ちた実が石の上やコンクリートの道の上にべったり黒いシミを付けている。子供の頃、桑の実を取って口にした思い出は田舎育ちの人には懐かしい。甘ずっぱい味は木苺の実と共に初夏の風物詩である。この色が意外としつこくて落ちにくく、梅雨時の雨に馴染んで染み付いた色は何時までも残って消えない。

かっての養蚕が盛んな頃の名残で、山間部には桑の木がそのまま放置されて繁っている。最近は、桑の葉茶として売られているのを良く目にする。他の薬草ともブレンドされて売られている。桑の葉は肺の回生・強化に効果があり、桑の根は桑白皮(そうはくひ)と言って、昔から咳止め・利尿に使われている。場所によっては簡単に手に入るものですので、桑の葉茶を作ってみては如何でしょうか

赤芽柏 生薬名 あかめがしわ

水の辺べの あかめがしわの 風の中 (圭太)

雨気を含んだ初夏のひと日、久方ぶりに川の堤をぶらつくと、河原を渡る風が心地良い。思う存 分翠の風を吸い込む幸せ。葉擦れのざわめきに目をやると、春先に赤い芽を出していたと思っていた赤芽柏の葉がすっかり緑を濃くして、ひたすら命を遊んでいる。この身もこの風の中に溶け込んで流れて行こう。
赤芽柏は林や川辺に良く見かける落葉樹。春先の若葉は赤味をおびて美しい。柔らかい葉のてんぷらは乙なものだ。昔はこの葉で食べ物を包んだそうで、柏餅の柏の葉と同じ使い方をしたと言う事でこの名前が付いたそうだ。菜盛葉という方言もあるとの事。
薬効としてはなんと言っても胃潰瘍。3g位の樹皮や葉の干したものを600ccの水で煎じてお服み下さい

どくだみ 生薬名 十薬

おどくだみや十文字白き夕まぐれ (秀野)

梅雨時の湿気を含んだ夕まぐれ、陽の射さない庭の片隅。
暮れかかった底にぼうっと、十字形の白く、中心が淡い黄色を点じた可憐な花が何気なく目にとまる。こんな心象風景とも思えるものは日本の人々の心の底に潜んでいて、時季ともなると、子供の頃の懐かしさとつながっているように思えて来る。
しかし、良く眺めると、しっかりと自己主張をしているような存在感を感じさせる雑草だ。
梅雨の頃から夏にかけて良く眼にするなじみの深い薬草の一つである。どくだみ(毒溜り)という名やその異種な匂いから受ける印象はあまり良くないが、茶花としての趣もある。
4枚の花弁のようなものは包(つと)で、中心の淡い黄色の部分が花になる。
十薬の名の通り色んな薬草茶に必ずと言っていいほど混ぜられている。特効としては、腫れ物の膿だしで、生の葉を水洗いして、火に軽く炙ったものを患部に貼る。
お茶代わりに飲むと(3グラムを600ccの水で煎じる)、利尿効果がある。
夏に移行していくこの時期、しっかりと自己主張している(どくだみ)に対していると、思わぬ元気を戴けるかも知れません。

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